琵琶湖一周の三角点-18 (番外編)
琵琶湖一周コース上の唯一の 「一等三角点」 を、番外編として取り上げる。
map 17 (No.25)
No.025 一等三角点 「深溝村」 標高 87.0m
1.一等三角点 「深溝村」 の位置
2.一等三角点 「深溝村」 三角点のある場所は、新旭の
「道の駅 風車村」の約800m北、湖周道路の西側にある団地内の道路脇。
湖周道路のすぐ横であるが、団地内の道路からしか近づけない。
写真に写っているガードレールが湖周道路。
3.一等三角点 「深溝村」 別に見通しが良い訳ではないのに、なぜ、ここが一等三角点に選ばれたのだろうか。
近くでは、
「羽子立山(箱館山 547.03m)」、「比良ヶ岳(蓬莱山 1173.94m)」、「阿弥陀山(高島市 453.57m)」が一等三角点であり、いずれも見通しの良い山の頂上が選ばれている。
4.一等三角点 「深溝村」 「一等」の文字が、左から横書きになっているところを見ると、この標石は比較的新しいものと思われる。(古いものは、右から横書き。)
「点の記図」によると、
選点 明治17年、更新 平成11年となっている。
5.一等三角点 「深溝村」 一等三角点の標石は、見たところでは、他のクラスの三角点と違いはないが、他の標石よりひと回り大きい。一辺が
18cmある。(四等三角点では
12cm。)
一等三角点について
一等三角点は、正三角形を理想の形とするように、約25km毎に設けられており、全国で972点ある。これは、1/50000地形図の、ほぼ1面に1箇所の割合になる。
一等三角点は見通しの良い山の頂上等に設けられるが、必ずしも高い山に設置される訳ではなく、富士山頂(3776m)にあるのは、二等三角点である。
三角点を設置するには、先ず、どこに三角点を置くかを決める、いわゆる先遣隊のような役割を果たす、「選点」という作業を行う。
その後、標石埋定、点ぴょう(観測用やぐら)建設、観測を行い、最終目的である地図を作成していく。
明治の初め、まだ日本全国の精確な地図が無かった頃、館 潔彦(たて きよひこ)という測量士がいた。彼は、陸軍省の命令を受け(この頃、地図作成は、陸軍省参謀本部陸地測量部の仕事であった。)、北海道から本州は勿論、四国、九州まで、名だたる険しい山々に登り、250点以上の一等三角点の選点を行っている(明治17~34年)。
今のように登山技術や交通の発達していない時代に、一人で日本全国に渡って、こんなに多くの一等三角点の選点を行ったことは、驚異的なことである。正に、役(えん)の行者の再来を思わせる。
因みに、小説や映画で有名になった剣岳(3003m)には、明治42年、測量士の柴崎芳太郎たちが、想像を絶する苦難の末にやっと登頂に成功するも、当時は、「点の記」には載らない「四等三角点」しか設置できなかった。このことは、映画「剣岳 点の記」にも詳しく描かれている。
しかし、平成16年になってやっと、当初、柴崎たちが果たせなかった「三等三角点」が設置された。そして、「点の記」には、当初の選点者である、柴崎芳太郎の名が記されている。
これで、
「琵琶湖一周を巡る三角点」を終了します。琵琶湖一周のコース上には、
約120点近い三角点、水準点がありますが、その中から、
29点を紹介してきました。
三角点探しは、見慣れた景色や道の中に、
未知のものを発見する面白さがあります。もし、地図がお好きでしたら、自分の家の近くの三角点、水準点を探してみるのも面白いと思います。その際、国土地理院のホームページの
「基準点成果等閲覧サービス」が、大変便利です。
国土地理院 基準点成果等閲覧サービス http://sokuservice1.gsi.go.jp/datums/
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