琵琶湖一周の三角点-18 (番外編)

ミッチー

2009年11月12日 09:03

 琵琶湖一周コース上の唯一の 「一等三角点」 を、番外編として取り上げる。

map 17 (No.25)



  

  

No.025 一等三角点 「深溝村」 標高 87.0m
1.一等三角点 「深溝村」 の位置





 2.一等三角点 「深溝村」

 三角点のある場所は、新旭の「道の駅 風車村」の約800m北、湖周道路の西側にある団地内の道路脇。
 湖周道路のすぐ横であるが、団地内の道路からしか近づけない。

 写真に写っているガードレールが湖周道路。



 3.一等三角点 「深溝村」

 別に見通しが良い訳ではないのに、なぜ、ここが一等三角点に選ばれたのだろうか。
 近くでは、「羽子立山(箱館山 547.03m)」、「比良ヶ岳(蓬莱山 1173.94m)」、「阿弥陀山(高島市 453.57m)」が一等三角点であり、いずれも見通しの良い山の頂上が選ばれている。



 4.一等三角点 「深溝村」

 「一等」の文字が、左から横書きになっているところを見ると、この標石は比較的新しいものと思われる。(古いものは、右から横書き。)
 「点の記図」によると、選点 明治17年、更新 平成11年となっている。



 5.一等三角点 「深溝村」

 一等三角点の標石は、見たところでは、他のクラスの三角点と違いはないが、他の標石よりひと回り大きい。一辺が18cmある。(四等三角点では12cm。)





一等三角点について

 一等三角点は、正三角形を理想の形とするように、約25km毎に設けられており、全国で972点ある。これは、1/50000地形図の、ほぼ1面に1箇所の割合になる。
 一等三角点は見通しの良い山の頂上等に設けられるが、必ずしも高い山に設置される訳ではなく、富士山頂(3776m)にあるのは、二等三角点である。
 三角点を設置するには、先ず、どこに三角点を置くかを決める、いわゆる先遣隊のような役割を果たす、「選点」という作業を行う。
 その後、標石埋定、点ぴょう(観測用やぐら)建設、観測を行い、最終目的である地図を作成していく。

 明治の初め、まだ日本全国の精確な地図が無かった頃、館 潔彦(たて きよひこ)という測量士がいた。彼は、陸軍省の命令を受け(この頃、地図作成は、陸軍省参謀本部陸地測量部の仕事であった。)、北海道から本州は勿論、四国、九州まで、名だたる険しい山々に登り、250点以上の一等三角点の選点を行っている(明治17~34年)。
 今のように登山技術や交通の発達していない時代に、一人で日本全国に渡って、こんなに多くの一等三角点の選点を行ったことは、驚異的なことである。正に、役(えん)の行者の再来を思わせる。

 因みに、小説や映画で有名になった剣岳(3003m)には、明治42年、測量士の柴崎芳太郎たちが、想像を絶する苦難の末にやっと登頂に成功するも、当時は、「点の記」には載らない「四等三角点」しか設置できなかった。このことは、映画「剣岳 点の記」にも詳しく描かれている。
 しかし、平成16年になってやっと、当初、柴崎たちが果たせなかった「三等三角点」が設置された。そして、「点の記」には、当初の選点者である、柴崎芳太郎の名が記されている。





  これで、「琵琶湖一周を巡る三角点」を終了します。琵琶湖一周のコース上には、約120点近い三角点、水準点がありますが、その中から、29点を紹介してきました。
 三角点探しは、見慣れた景色や道の中に、未知のものを発見する面白さがあります。もし、地図がお好きでしたら、自分の家の近くの三角点、水準点を探してみるのも面白いと思います。その際、国土地理院のホームページの「基準点成果等閲覧サービス」が、大変便利です。
 
国土地理院 基準点成果等閲覧サービス 
http://sokuservice1.gsi.go.jp/datums/


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