› 新 琵琶湖逍遙 › 2008年05月

この広告は365日以上更新がないブログに表示されます。  

Posted by 滋賀咲くブログ at

2008年05月23日

近江高島市畑 棚田

 前立腺に癌細胞が見つかり、3月初めに前立腺全摘出手術をしました。そして手術後80日が経ちましたが、後遺症で排尿のコントロールがまだうまく出来ないので、長時間の行動や激しい運動は無理です。しかし、処置のために3時間以内に洋式トイレが使えるところへならば、なんとか出かけられるようになりました。前立腺癌の治療日記については多くの方が体験談を HPに載せておられますので、詳細には触れませんが、それらの体験談を読むと、私の場合、手術後の回復が少し遅いようです。
 従って3,4,5月は、一年中で一番気候の良い季節にも拘らず、何もする気力が無く、このブログの更新もままなりませんでした。それにも拘らず、毎日たくさんの方々にアクセスしていただいて、本当に申し訳なく思っています。
 もうすぐ手術後3ヶ月になります。一日も早く元通りに回復し、琵琶湖逍遙を再開できれば、と思っています。
 今回は琵琶湖逍遙とは直接関係はありませんが、自宅で療養中に画いた近江高島市 畑の棚田のはがき絵を繋ぎとしてアップしました。




近江高島市畑 (はた) の位置 

 近江高島の市街地から暫くは広々とした、緩やかに上っていく段丘が続く。
 山懐に入っていよいよ山深くなってきたところで、暗くて狭い谷間を抜けると、急に明るく開けた場所に出る。畑 (はた)の集落である。



 畑 棚田-1

 畑の棚田は室町時代頃から拓かれたと伝えられ、滋賀県で唯一「日本の棚田百選」にも選ばれており、狭い盆地ながら周囲を山に囲まれた美しい別世界である。





 畑 棚田-2

 急な坂道が続く集落の上の方から振り返ると、来るとき通り抜けてきた暗い谷間のずうっと向こうに、遠くの集落が明るく光って見えた。





 畑 棚田-3

 水田は水を張るために斜面を水平に拓かねばならず、平坦な農地を持たない山間住民の苦労の結晶である。棚田の美しい幾何学模様も、働き手には過酷さを意味する。
 決して生産効率がよいとはいえない棚田であるが、人間と大地が一体となって何百年間も続いてきた結果、作り上げられた造形美であると思う。




 畑 棚田-4

 過疎化や労働力の高齢化、さらに減反政策などで耕作放棄される田んぼが増加しているが、最近、国土、環境保全の観点から棚田の保護活動が広まってきている。
 棚田は急傾斜地の土壌の流出をくい止め、雨水は1枚1枚の田んぼをゆっくりと流れ下っていき、治水ダムや砂防ダムの役目をはたし、川に流れ込む水をきれいにし、田園の生態系をも豊かにしてくれる。



 畑 棚田-5

 ここ畑では、都会に住む人たちに田んぼのオーナーになってもらう「棚田オーナー制度」を設けている。全部で約700枚ある棚田の内、30枚をこの棚田オーナー制度にしている。棚田オーナー制度には

 ・ 田植え、稲刈りのみをし、水の管理、草刈等は農家に任せる「おまかせコース」

 ・ さらに、あぜ塗りや草刈、施肥まで参加する「こだわりコース」

 ・ すべての農作業に携わる「超こだわりコース」

がある。そしてオーナーには滋賀県外の人も多いという。




 畑 棚田-6

 四季を通じて、棚田は美しい日本の原風景を見せてくれる。中でもとりわけ田植えの頃に水の張られた棚田はとても美しい。

 棚田は単なる農地を越えた日本人の社会的、歴史的な遺産ともいえる。そんな棚田が、日本中で次々に消えつつあるのは非常に残念である。






  


Posted by ミッチー at 06:48Comments(2)滋賀の風景