
2009年05月22日
鞆の浦で琵琶湖を想う

鞆の浦を再訪する機会があって改めて鞆の浦の港湾遺産の重要性と保全について考えさせられた。

鞆の浦は万葉の昔から瀬戸内海における風待ちの港、潮待ちの港として重要な天然の良港として栄え、江戸時代に17回も日本に来た朝鮮通信使からは「日東第一形勝」と賞賛された。
これは朝鮮通信使の接待所であった対潮楼から弁天島の眺め。

現在でも「港の5点セット」と呼ばれる雁木、常夜灯、波止、焚場、船番所が揃って現存し、これは日本のみならず、世界的に見ても非常に価値が高いと評価されている

多くの自治体で文化遺産や自然遺産を保全してそれを活用する計画を立てている中で、鞆の浦のように国内外から高い評価を受けている遺産を破壊する計画(埋め立て、架橋)案を推し進めている自治体の見識に疑問を持たざるを得ない。

歴史的、文化的に価値のある観光資源があるからこそ観光客が来るのであって、これらの観光資源がなくなって、魅力のない土地になってしまうと、いくら道路整備、駐車場整備をしても人はこなくなってしまうであろうということは明らかである。
行政のパンフレットには観光の目玉として鞆の浦がちゃんと紹介されている。行政は鞆の浦の歴史的、文化的j価値を客観的に把握した上で、鞆の浦のこれからのまちづくりのあり方を検討し、地元の反対を押しきって進めようとしている「道路港湾整備事業」を抜本的に見直しをするべきではないだろうか。

鞆の浦で起こっているのと同じ問題は全国にあり、琵琶湖周辺でも起こりかねない問題であると思った。
これは海津集落の特徴である湖岸に沿って1kmも続く波除け石積みと琵琶湖に突き出る橋板。